不動産の鑑定評価に関する次の記述のうち、不動産鑑定評価基準によれば、誤っているものはどれか。(令和7年出題 問25)
① 価格形成要因のうち個別的要因とは、一般経済社会における不動産のあり方及びその価格の水準に影響を与える要因をいい、自然的要因、社会的要因、経済的要因及び行政的要因に大別される。
② 収益還元法は、賃貸用不動産又は賃貸以外の事業の用に供する不動産の価格を求める場合に特に有効な手段であり、自用の不動産であっても賃貸を想定することにより適用される。
③ 原価法における減価修正の方法としては、耐用年数に基づく方法と、観察減価法の2つの方法があり、これらは併用するものとする。
④ 対象建築物に関する工事が完了していない場合でも、当該工事の完了を前提として鑑定評価を行うことがある。
① ☓
記述されている内容は「個別的要因」ではなく、「一般的要因」の定義です。
不動産の鑑定評価における価格形成要因は、以下の3つに階層化されています。
不動産鑑定評価基準に記載があるが、とても長文なので、要約すると下記のようになります。
価格形成要因の3分類
・一般的要因:一般経済社会における不動産のあり方や価格水準に影響を与える要因(自然的・社会的・経済的・行政的要因に大別)。
・地域要因:一般的要因が特定の地域(用途的地域)の特性を形成し、その地域内の不動産価格に影響を与える要因。
・個別的要因:不動産の個性を構成し、その価格を個別化する要因(土地の形状、建物の構造、築年数など)。
不動産鑑定評価基準 総論第3章
第三章 不動産の価格を形成する要因
不動産の価格を形成する要因(以下「価格形成要因」という。)とは、不動産の効用及び相対的稀少性並びに不動産に対する有効需要の三者に影響を与える要因をいう。不動産の価格は、多数の要因の相互作用の結果として形成されるものであるが、要因それ自体も常に変動する傾向を持っている。したがって、不動産の鑑定評価を行うに当たっては、価格形成要因を市場参加者の観点から明確に把握し、かつ、その推移及び動向並びに諸要因間の相互関係を十分に分析して、前記三者に及ぼすその影響を判定することが必要である。
価格形成要因は、一般的要因、地域要因及び個別的要因に分けられる。
② 〇
そのとおり。
収益還元法は、賃貸用不動産や事業用不動産の価格を求める場合に特に有効ですが、自用の不動産(自分で住む住宅や土地など)であっても、もしその不動産を他人に貸し渡したとしたらどれだけの利益(賃料)を生み出すかを想定(潜在的な賃料を仮定)することによって、収益還元法を適用することができます。
「不動産鑑定評価基準」総論第7章 第1節
IV 収益還元法
1 意義
収益還元法は、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益の現在価値の総和を求めることにより対象不動産の試算価格を求める手法である(この手法による試算価格を収益価格という。)。
収益還元法は、賃貸用不動産又は賃貸以外の事業の用に供する不動産の価格を求める場合に特に有効である。
また、不動産の価格は、一般に当該不動産の収益性を反映して形成されるものであり、収益は、不動産の経済価値の本質を形成するものである。したがって、この手法は、文化財の指定を受けた建造物等の一般的に市場性を有しない不動産以外のものにはすべて適用すべきものであり、自用の住宅地といえども賃貸を想定することにより適用されるものである。
なお、市場における土地の取引価格の上昇が著しいときは、その価格と収益価格との乖離が増大するものであるので、先走りがちな取引価格に対する有力な検証手段として、この手法が活用されるべきである。
③ 〇
そのとおり。
不動産鑑定の原価法における減価修正では、「耐用年数に基づく方法」と「観察減価法」の二つの方法を原則として併用するものとされている。
・耐用年数に基づく方法:築年数や経済的残存耐用年数などの数式を使って、機械的・客観的に減価額を算出します。
・観察減価法:専門家が実際に現地を見て、物理的・機能的な破損や不具合の状態を調査して減価額を求めます。
不動産鑑定評価基準 第七章 鑑定評価の方式
II 原価法
(2) 減価修正の方法
減価額を求めるには、次の二つの方法があり、原則としてこれらを併用するものとする。
1) 耐用年数に基づく方法
耐用年数に基づく方法には、定額法、定率法等があるが、これらのうちいずれの方法を用いるかは、対象不動産の実情に即して決定すべきである。
この方法を用いる場合には、経過年数よりも経済的残存耐用年数に重点をおいて判断すべきである。
なお、対象不動産が二以上の分別可能な組成部分により構成されていて、それぞれの耐用年数又は経済的残存耐用年数が異なる場合に、これらをいかに判断して用いるか、また、耐用年数満了時における残材価額をいかにみるかについても、対象不動産の実情に即して決定すべきである。
2) 観察減価法
観察減価法は、対象不動産について、設計、設備等の機能性、維持管理の状態、補修の状況、付近の環境との適合の状態等各減価の要因の実態を調査することにより、減価額を直接求める方法である。
④ 〇
そのとおり。
造成中・未着工の土地や、建築中・未着工の建物について、価格時点で工事が完了していると仮定して評価を行う方法です。建設資金の融資を受ける際や、未完成物件の売買などで「完成後の価値」をあらかじめ把握する必要がある場合に用いられます。
不動産鑑定評価基準総論第5章(鑑定評価の基本的事項)第1節(対象不動産の確定)
(5)造成に関する工事が完了していない土地又は建築に係る工事(建物を新築するもののほか、増改築等を含む。)が完了していない建物について、当該工事の完了を前提として鑑定評価の対象とすること(この場合の鑑定評価を未竣工建物等鑑定評価という。)。なお、上記に掲げるもののほか、対象不動産の権利の態様に関するものとして、価格時点と異なる権利関係を前提として鑑定評価の対象とすることがある。
正解 ①
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